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151号 「Brexitに向かうイギリスに想う」 木畑洋一 JAIR | JAIR Newsletter Back Issues

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JAIR Newsletter

No.151 April 2017

日本国際政治学会

http://jair.or.jp/

[目次]

巻頭言………1 理事会便り………3

事務局からのお知らせ………2 2016年度研究大会報告………4

2017年度研究大会分科会報告募集...………2 編集後記 ………..6

Brexitに向かうイギリスに想う

木畑洋一

昨年(2016年)6 月の国民投票でEUからの離脱(Brexit)の方向を選んだ

イギリスは、今それに向けての交渉をEUとの間で始めようとしている。

国民投票の結果は、この問題について意見を交わしてきた友人たちのほとん

どと同様、筆者にとっても全く意外であった。筆者がイギリス外交について関

心をもち始めてから半世紀近くたつが、ヨーロッパ統合とイギリスの関係は、

その間ずっと気になりつづけてきた問題である。1968年から69年にかけて筆

者が最初に留学した時には、イギリスはまだECの外にいた。75年から76年

にかけて2度目の留学をした際には、ECのメンバーとなっており、75年6月

には、EC 残留という結果になった前回の国民投票を観察できた。その留学か

ら帰ってきて、「イギリスのEC加盟と現代史研究」(『歴史学研究』439、1976

年)という文章を書いたこともなつかしい。さらに90年から91年の在外研究

時には、統合ヨーロッパの力の強化に対してサッチャー首相が「ノー、ノー、ノー」と叫んだ議会演説(90

年10月30日)に驚いたことをよく覚えている。

こうした年月を通じて、イギリスがヨーロッパ統合の深化に対して一貫して消極的であり、「やっかいなパ

ートナー」と呼ばれるような態度をとってきたことは確かである。とはいえ、イギリスがいったん加わった

ヨーロッパ統合の動きから自らを引き離すことは、予想もしなかった。世界とイギリスの関わりに重点を置

きながらイギリスの歴史を学んできた筆者は、イギリスの居場所は統合ヨーロッパのなか以外には考えられ

ないという確信に到達していたのである。統合を進める大陸ヨーロッパとイギリスとの関係との対比で、日

本と近隣アジアの関係について論じ、いずれの場合もそのつながりをさらに深めることこそ目指すべき道で

あるという趣旨の文章も書いてきた。

そのような身にとって、昨年の国民投票の結果は激しい衝撃であった。Brexit の決定はまた、スコットラ

ンドの独立志向を改めて浮上させたり、北アイルランド情勢を流動化させたりしている。筆者は、スコット

ランドの問題にせよ、北アイルランドの問題にせよ、イギリスがヨーロッパのなかにしっかりと足場を築い

ていってこそ、将来への道が見えてくるものと考えてきたが、イギリスが EU を離れた後にそれらを含むイ

ギリスという国の形がどのようなものになっていくか分らなくなってきた、というのが正直なところである。

(2)

事務局からのお知らせ

1. Web上での会員管理システム(e-naf)への移行予定

すでにご案内のように、従来冊子体で作成していた会員名簿に関し、2017年度にはWeb上での会員情報

管理システム(e-naf)を活用し、会員が相互に一定の会員情報を閲覧できるとともに、会員情報の更新

の一部を会員本人が行うことが出来るシステムに移行します。これに伴い、学会事務委託先である中西

印刷が提供するe-nafのデモ画面での確認を行いました。e-nafについては、3000人以上の規模の理系学

会等も利用しており、セキュリティについても十分信頼できるシステムです。2017年10月頃までには会

員の皆さんにお使い頂けるように準備予定です。

2. 新入会員

第6回理事会(3月5日開催)で入会申込書等が回覧され、13名の新入会員が承認されました。会費の

納入をもって正式に会員となりますので、入会を承認された方々は会費を納入してくださいますよう、

お願いいたします。

2016-2018年期理事長 石田 淳

2016-2018年期事務局主任 遠藤 貢

2017

年度研究大会分科会報告の募集について

すでに学会ホームページでご案内のとおり、2017年度研究大会での分科会報告の募集をしております。若

手会員はもちろん、中堅以上の会員からも積極的な報告・ パネル組織のご提案を期待しております。

応募締め切りは4月28日(金)です。お問い合わせは、HP掲載の各分科会責任者に直接お願いいたしま

す。

なお、報告の応募等に関しましては、①統一書式による応募とし、②報告者には原則的に報告論文を事前

に学会HPにアップロードしていただきます。また、③より多くの会員が発表機会を得られるよう、前年度・

前々年度の研究大会で報告されていない会員の発表希望を優先させていただきます。

詳細は、学会 HP(http://jair.or.jp/committee/bunkakai/2694.html)をご覧ください。以下の分科会からの報告 募集を掲載しています。

Aブロッ ク(歴史系) Bブロック(地域系) Cブロック(理論系) Dブロッ ク(非国家主体系)

日本外交史

東アジア国際政治史

欧 州 国 際 政 治 史 ・

欧州研究

アメリカ政治外交

ロシア東欧

東アジア

東南アジア

中東

ラテンアメリカ

アフリカ

理論と方法

国際統合

安全保障

国際政治経済

政策決定

国際交流

トランスナショナル

国連研究

平和研究

ジェンダー

環境

(3)

理事会便り

編集委員会からのお知らせ

1. 2018年度『国際政治』の論文募集を開始しております。193号「歴史のなかの国際平和機構」(編集:篠

原初枝会員)、194号「体制移行と暴力-世界秩序の行方-」(編集:土佐弘之会員)、195号「関係回復

の論理と実証」(編集:泉川泰博会員)。詳細は学会HPをご覧ください。

(http://jair.or.jp/committee/henshu/2453.html)みなさまからの積極的な応募をお待ちしております。

2. 2019年度『国際政治』の論文募集を開始しております。197号「国際政治と中国」(編集:川島真会員)、

198号「『ウィルソン主義』の100年」(編集:西崎文子会員)。詳細は学会HPをご覧ください。

(http://jair.or.jp/committee/henshu/2791.html)

3. 独立論文は随時応募を受け付けています。ぜひ奮ってご応募ください。執筆要領等の詳細は学会 HP の

「論文投稿等関係」に掲載されている「『国際政治』掲載原稿執筆要領」をご覧ください。応募・問い合

わせ先は、編集委員会副主任:石川卓 jair-edit☆jair.or.jpまでお願いいたします(☆を@に代えてお送り

ください)。

4. 『国際政治』は特集論文、独立論文とも査読プロセスを経ています。執筆から掲載まで一定の修正が求

められることが多く、時間とエネルギーを要するプロセスですが、論文の質の向上には確実に貢献して いると考えています。会員各位にはなお一層積極的な投稿および再投稿をお願いします。また、編集委

員会より査読をお願いした際には、多くの会員に快くお引き受け頂いており、心より感謝しております。

引き続きお力添えを賜りますよう、お願いします。

5. J-stage での『国際政治』電子版で、刊行後 2 年以降の号の論文については自由に読むことができます。

また刊行2年以内の論文についても、購読者番号とパスワードを用いた会員限定の閲覧を行えます。学

会会費振込依頼書と共にお送りする文書で購読者番号とパスワードをご確認ください。

6. 『国際政治』に掲載した論文を執筆者が転載(複製利用)する場合、ご自身の著書等に利用される際は、

事前に文書で理事長に申し出ていただくことになっており、またリポジトリー等に掲載される際は、編

集委員会主任に申し出ていただくことになっております (『国際政治』掲載原稿執筆要領 1-(6)・(8))。

前者については、学会 HPに掲載している申請書をご利用ください。双方とも連絡は編集委員会主任ま

でお願いいたします。

編集委員会主任 大島美穂

国際交流委員会からのお知らせ

1. 2016年度海外発信強化助成公募の結果

2016年度海外発信強化助成(海外学会等報告、海外研究者招聘、海外研究者国内旅費)の申請は1月16

日で締切りましたが、審議の結果、海外学会等報告について、等松春夫会員、重松尚会員、岡橋純子会 員、宇治梓紗会員、松嵜英也会員、佐桑健太郎会員に助成が決定しました。ここにお知らせします。

2. 5月12・13日、日中韓フォーラム(ソウル)での院生会員報告者の募集

すでに3月31日付メーリングリストでお知らせしました通り、5月12・13日にソウルで開催される日

中韓フォーラムの次世代リーダーズフォーラムにおける院生会員の報告者9名を募集しています。詳細

については上記メールと学会HPをご覧ください。応募締切(メールで受付)は4月14日(金)です。

皆様の積極的なご応募をお待ちしております

(4)

制度整備・自己点検タスクフォースからのお知らせ

制度整備・自己点検タスクフォースは、従来の制度設計タスクフォースの後を継いで発足した特設委員会

でして、以下の9名の委員で構成されております。

青山瑠妙(早稲田大学)、泉川泰博(中央大学)、井上正也(成蹊大学)、上村直樹(南山大学)、武内進一

(アジア経済研究所)、東野篤子(筑波大学)、山尾大(九州大学)、和田洋典(青山学院大学)、大矢根聡(同

志社大学、主任)。

同タスクフォースの任務は2 点あり、第一は諸規定の整備でして、各委員会のルールや内規の整備・技術

的修正、および学会制度に関わる規定の整備を行います。現在は、学会奨励賞選考内規の改訂作業を進めて

おります。

第二の任務は、日本国際政治学会の組織的特性に基づく研究の特徴を確認することにあります。日本国際

政治学会は、昨年度に創設60周年を迎え、先達によって相当の研究が蓄積されております。その本学会の会

員による研究の特徴と今後に継承すべき知的遺産を確認し、同時に本学会の組織的特徴(歴史・地域・理論

の3領域の研究が併存)を反映した研究成果を検証する、という任務を与えられております。

この点については、2017年度研究大会において部会「日本の国際関係論の再検討―『外圧反応型国家』と

しての日本外交をめぐる理論・歴史研究の位相―」を開催し、以下の方々に報告と討論、司会をお願いして

おります。会員の皆様が、本学会における研究を振り返り、その特徴や成果などを再確認する機会になれば 幸いです。

報告者 古城佳子(東京大学)「経済大国化と対外経済政策の変化―『外圧』の作用と市場―」(仮)

添谷芳秀(慶應義塾大学)「日本外交分析の回顧と展望―安全保障政策を中心に―」(仮)

波多野澄雄(アジア歴史資料センター)「『外圧反応論』を超えて―日本外交150年の起伏―」(仮)

討論者 宮下明聡(東京国際大学)

司会者・討論者 大芝亮(青山学院大学)

また、上記の第二の任務に関連して、制度整備・自己点検タスクフォースの委員が本学会における各分野 の研究を再確認するために、研究会を開催してゆきます。その結果は、学会サイトなどを通じて会員の皆様

にお示しする予定にしております。

制度整備・自己点検タスクフォースの作業のために、今後、会員の皆様にご協力を仰ぐ機会が少なくない

ものと思われますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

制度整備・自己点検タスクフォース主任 大矢根 聡

広報委員会からのお知らせ

学会 HP では、会員の皆様からのシンポジウム等のお知らせや新刊紹介などを随時掲載しております。情

報交換・共有の場としてご活用ください。掲載を希望される場合は、HP右側のメインメニューの「お知らせ

投稿フォーム」をご利用のうえ、ご投稿ください。統一的な記録を残していく必要があるので、お手数です

が、上記の「お知らせ投稿フォーム」への記載をお願いいたします。パスワードにつきましては、紙媒体ニ

ューズレター146号に掲載されていますが、今後は、会費納入用紙、『国際政治』等、各種の郵便物とともに

お知らせします。

その他、ニューズレターやHPに関してお問い合わせ等がありましたら、広報委員会(jair-pr☆jair.or.jp)に

ご連絡ください。(☆を@に代えてください)

広報委員会主任 山田敦

2016

年研究大会

部会報告

記念部会F

Transnational Governance and Public-Private Partnerships

トランスナショナル・ガバナンスの分野で、国際

(5)

行われた。

Graeme Auld (Carleton University) は、The Evolving Logics of Transnational Private Governance across

Sectorsと題して、プライベート認証スキームが多数

存在し分散化(fragmentation)しているセクターと、 そうでないセクターがある状況について検証した。

認証スキーム間の競争関係は3つの要因に影響され

ると説明され、すなわち、スキームの初期の成り立 ち、スキームがグローバルに展開する制度に成長す

るまでの時間軸、そして既存のスキームから別の新 スキームが構築される背景事情、に関係することが

指摘された。

阪口功会員(学習院大学)は、The Prospects and Limits of Private Sustainability Regulation: Japan’s

Experiencesと題して、グローバルに展開する認証ス

キームが日本の市場で普及しない現状を分析した。

その原因として、日本ローカルな認証スキームが構 築され利用促進される事情があることが紹介され、

そこには日本国内の政治体制、とりわけ官庁と認証 スキームの癒着が絡んでいることが、漁業認証を事 例に説明された。

Duncan Snidal (Oxford University) は、Orchestration as a New Mode of International Organizations’

Governanceと題して、ガバナンスの一類型としての

「オーケストレーション」が、もう一つの類型とし

ての「実験主義的ガバナンス」とどのような関係性

にあるかを検討した。「実験主義的ガバナンス」にお

ける「実験」、すなわち、現場での実践や見直し等の

プロセスをより現実化するには、「オーケストレーシ

ョン」概念における「(国際機関等の)オーケストレ

ーター」による実験のデザイン・促進・監視、ある いはローカルアクターの参加促進等の役割が重要で

あることが指摘された。

以上に対して、討論者の蟹江憲史会員(慶応大学)

から、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の実

施に絡めた質問がなされ、「オーケストレーション」

とは異なる「ジャズ」類型のガバナンスの意義、ど

のようなガバナンス類型を採るかという初期の選択 が結果として知識形成に与える影響等について指摘

がなされた。また、司会者(兼討論者)の山田高敬 会員(名古屋大学)からは「分散化」を焦点に質問

がなされ、分散化自身がもつ意義や価値について、 日本における認証ラベルの分散化状況の変革可能性、

さらにオーケストレーターによる実験の促進の困難 さや実現可能性について指摘がなされた。

会場からは、プライベート認証スキームの普及に おける一般の消費者の役割について、業界が公的規 制回避の目的で形成した認証スキームに対する評価、

さらにオーケストレーターによる実験促進が国家に とって好ましくない結果をもたらした場合について、

それぞれ質問がなされた。

(山田 高敬)

部会1「帝国の解体と再生

(サイクス・ピコ協定100周年)」

帝国解体は国際政治と国内政治の両レベルをまた

ぐ挑戦的なテーマであり、時空を超えた比較によっ て理論上・歴史学上の未知の豊かな領域であること が確認された。

坂元一哉会員(大阪大学)の報告「戦後日本と『帝

国』再生の条件―憲法、平和条約、安保条約」は、

「帝」の国としての「帝国」再生の法的基盤となっ た三つの法と条約が三位一体となることで、敗戦国

に要求された天皇の戦争責任と軍備制限条項という 屈辱(主権的正統性の欠損)を回避する「避雷針」

として機能し国内外の正統性回復に貢献したことが、

天皇自らがGHQ憲法草案を読み積極的に受諾した

エピソードを交えて論じられた。他方、廣瀬陽子会

員(慶應義塾大学)は、「未承認国家の誕生と存続―

帝国・連邦の遺産」と題して報告し、主にソ連邦解

体後に生まれた未承認国家を、域内を実効支配しつ つも外部の承認がない国家と定義し、国際社会との

統合度合いや対外貿易等の指標を示して現状の悉皆 調査を報告した。赤川尚平会員(慶應義塾大学)の

「オスマン帝国の解体とイギリス外交」は、やむを 得ない事情で行われなかったが、池内恵会員(東京 大学)による内容紹介があった。

第一の討論者の岡本隆司会員(京都府立大学)は、

帝国内部の秩序のあり方を解明しないと正確な史実

分析ができないと指摘した上で、坂元報告に対して は、帝国解体にともなう朝鮮等の旧植民地の位置も

議論に組み入れるべきこと、廣瀬報告に対しては、 国民国家への統合が進むものであるという前提でそ

れを最善とする立場から、「劣る」ものとしての「未

承認国家」が定義されているのではないか、そもそ

もその概念で世界を観察することの有効性、主権国 家体制を自明なものとしていることへの疑問が提示 された。第二の討論者の佐藤尚平会員(金沢大学)

は、帝国統治が生み出した問題、帝国が解体した結 果として生じた問題、帝国解体過程そのものが生み

出した問題を分けて考えるべきこと、その上に主権 国家体制が地球儀に押し付けられることによるゆが

みの問題が存在しているとの指摘の上で、廣瀬報告 に対して、主権国家体制のほうがむしろ特異なので

はないか、そのひずみとして未承認国が現れたので はないか、デファクトの追認だけでは問題の解決に はならず、あいまいな帝国秩序の解体過程でいかな

る代替案があったのかを検討することが大事ではと の指摘があった。

フロアの細谷雄一・半澤朝彦・増田弘会員からも

質問があり、「新しい中世」とブザン、人権、自治等

をキーワードに、リベラルな帝国・国際秩序観念の 限界や可塑性を中心に活発な議論が展開された。

(6)

2016

年研究大会

分科会報告

東アジア国際関係史/東アジアⅠ

「ポスト冷戦期の東アジア: 武器輸出をめぐる国際政治」

90分の分科会に4人の報告と2人の討論が設定さ

れ、きつい時間的制約のためか、逆に非常に明晰な 報告と討論となった。

第1報告の伊藤弘太郎会員(中央大学)は「冷戦

後の韓国の防衛産業:防衛装備品輸出拡大への過程」

と題する報告を行った。本報告は、近年、韓国の防

衛産業が対外輸出を増加させることに成功した契機 は、冷戦崩壊前後の国内外の政治変動が同国の防衛

産業に改革を促したことによるものであることと、 日本の安全保障を考える上で韓国の防衛産業の動向 を把握する重要性をそれぞれ指摘した。

第2報告は、田中慎吾会員(大阪大学)による、

「オバマ政権の対東アジア核外交—核燃料再処理技

術問題を中心に—」であった。本報告は、なぜオバマ

政権は2015年に中韓両国との間に、核燃料の再処理

を将来的に認可することを示唆する原子力協定を締 結したのかについて、経済的動機や、北朝鮮の核開

発問題への対処など多角的側面から検討するもので あった。

第3報告で、土屋貴裕会員(慶應義塾大学)は「中

国の軍備管理・不拡散政策と武器輸出」と題する報 告を行い、中国による軍備管理・軍縮、不拡散への

積極的な取り組みを強調する一方で、軍事および経 済の発展のために通常兵器の輸出入を拡大している

ことを示し、さらに武器輸出入に関する国内体制と その資本について論及した。

第4報告で、山口航会員(同志社大学)は「武器

輸出三原則の見直しと規範」と題する報告で、武器

輸出三原則と規範との関係について報告を行い、三

原則の21回の例外化、および防衛装備移転三原則の

策定を分析し、個別の事例ベースで例外化が積み重 ねられていったことや、規範的制約が根強いことな

どを明らかにした。

討論者の佐藤丙午会員(拓殖大学)は、経済(需

要側と供給側の役割の大きさ)、法的規定、交渉、国

内政治という要因のほか、武器輸出の正当性を測る 枠組みの欠如など、武器輸出研究について概観した

上で、4報告にそれぞれコメントを行った。伊藤会

員に対し、韓国の官民一体の市場開拓に対する国内

の反応の存在を確認した。田中会員には、米国の核 外交が、自国の原子力産業の市場の専有性の割合に

影響を受けていることを指摘し、土屋会員には、中 国の武器貿易と軍備管理軍縮政策を貫徹する論理を

解明する重要性を強調した。山口会員には、日本の 武器貿易に対する平和主義の規範の拘束力の変化を 評価する指標の解明が重要であると指摘した。

フロアからも質問が相次いだ。核をめぐる「ダブ ル・スタンダード」の事実関係や解釈、技術の対米

依存度の高さによる韓国の武器輸出の限界、韓国の

トップセールスと関係省庁によるサポート、「ゴール

デン・スタンダード」の解釈、半強制的な技術移転 に関わる問題、中国の軍備管理レジームへの選択的 参加、日米間の各交渉や米の核政策の歴史の解釈、

日本の規範意識など多くの質問があった。報告者か らは簡潔だが明確な回答が続き、コメントや質問も

含めて高水準の分科会となった。

(浅野亮)

編集後記

前号は27ページ、今号は6ページ。バラツキがひど

くて申し訳ありません。「こんな記事があったらいい

な」というアイディアをお持ちの会員は、ぜひ広報 委員会(右記のメールアドレス)までお知らせくだ

さい。(AY)

東京の桜は満開となりました。異動の季節です。 ご所属、ご連絡先が変わられた際には届け出をお願

いします。詳細は http://jair.or.jp/datachange.html を

ご参照ください。(KM)

今号から、JAIR Newsletterが国会図書館に納入さ れることになりました。国会図書館では、冊子体の

納本制度とは別に、インターネット上で公開する電 子書籍・電子雑誌を収集・保存する制度も運用され

ており、それに該当するとのことです。ニューズレ

ターの持つ学会の活動記録としての側面を改めて感 じました。(SK)

日本国際政治学会ニューズレター No.151

(2017年4月10日発行)

発行人 石田 淳

編集人 山田 敦・牧野 久美子・小林 哲

〒186-8601 東京都国立市中2-1 一橋大学第三研究館内

日本国際政治学会 一橋事務所気付

参照

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